失敗しないコーヒーの淹れ方 ペーパードリップ編

失敗しないコーヒーの淹れ方 ペーパードリップ編 - Blackhole Coffee Roaster

コーヒーは嗜好品です。コーヒー豆の産地にこだわる、コーヒー豆の焙煎度にこだわる、コーヒーの淹れ方・抽出方法にこだわる、飲み方にこだわる…等々、楽しみ方は人それぞれです。いずれにしても、まず覚えておきたいのは、基本的なコーヒーの淹れ方・抽出方法ではないでしょうか?

ここではとてもオーソドックスな「ペーパードリップ」について解説します。ペーパードリップは古今東西たくさんの人達が研究してきているので、流派・お作法が沢山ありますが、いくつかの共通するポイントがあります。上質なコーヒー豆を使いつつ、それらのポイントを抑えれば、誰でも、ご家庭で、お店で出てくるようなスペシャルティコーヒーが淹れられます。
 

失敗しないペーパードリップ…事前準備

 

器具

  • ドリッパー
  • ペーパーフィルター
  • サーバー
  • カフェケトル
  • 料理用の温度計

ドリッパーについて、ここでは、一般的な台形ドリッパーを使います。

Blackhole Coffee Roasterでは、CAFECスリーフォードリッパーを使用しています。このスリーフォードリッパーは、非常にすぐれたドリッパーで、程よくブレが少ないコーヒーが淹れられます。

ペーパーフィルターについて、必ずドリッパーの形、サイズにあったものを選んでください。

サーバーについて、抽出量が確認できるものが良いです。直接中身が見える目盛りのついたガラス製が無難です。最近はコーヒー用のビーカーなどもお勧めです。陶器製など、中身が直接見えないものの場合、ドリップ用のスタンドとスケールが必要になります。

カフェケトルは注ぎ口が細く長いものを。普通のヤカンだと、注ぐお湯の量が調整できず、難易度があがります。

料理用の温度計は、抽出用の水の湯温を測るためです。

コーヒー豆

コーヒー豆について下記がポイントです。

  • 中挽き
  • 抽出量150mlに対してコーヒーの粉10gの割合

粉の量について、お好みで調整してください。コーヒー豆の種類、焙煎度(超浅煎りは除く)はお好きなものを。加えて、下記2つのポイントを抑えると、より上質なコーヒーになります。 

  • 焙煎してから日が浅い豆を使う
  • 淹れる直前に挽く

焙煎してから日が浅い新鮮な豆を使うと、抽出する時にきれいに膨らみ、コーヒーの成分をうまく抽出できます。焙煎してから2日~4週間くらいがオススメです。ちなみに浅煎りの場合は、焙煎して日が浅くても膨らまない場合があります。またディカフェの豆なども、新鮮な場合でも膨らみにくい事があります。必ずしも「膨らまない=古い」という訳ではないのでご注意ください。

焙煎してから日が経つと、コーヒーに含まれる炭酸ガスが抜けて膨らまなくなるので、効率よく抽出ができず、難易度が上がります。ちなみに、炭酸ガスと一緒に風味も抜けます。その現象は、一般的には「劣化」と捉えられていますが、このあたりはお好み次第です。焙煎してから日が経ったコーヒーを、エイジングコーヒーと称してあえて出す店もあります。ただ、風味を楽しむスペシャルティコーヒーであれば、新鮮であるに越したことはないと思います。 

コーヒー豆は焙煎直後から炭酸ガスと一緒に風味が抜けていくのですが、挽くことによって表面積が増えると、その抜ける速度が一気に上がります。淹れる直前に挽くほうが良い理由はそれです。

水(お湯)

下記のポイントを抑えましょう。

  • 沸かしたての軟水
  •  83℃(~ 88℃) …大事!

水に含まれるミネラル分によって、コーヒーの味は変化します。特に鉄分は、コーヒーに含まれるタンニンと結合して風味が変わります。お好みではありますが、失敗しない抽出のためには、ミネラル分が少ない軟水が無難です。

日本の殆どの地域の水道水は軟水なので、一度沸騰させてカルキを抜いた水道水が現実的なところです。もちろん浄水器を通した方がおいしいコーヒーになります。

井戸水やミネラルウォーターは、含まれる成分によっては、利用を避けたほうが良いです。ただしこのあたりはお好みです。

湯温に関しては、当店では83℃程度をオススメしています。湯温が低いと苦味が抑えられ(酸味が目立ち)、高いと酸味が抑えられる(苦味が目立つ)傾向があります。83℃を基本として、酸味を抑えたい時に湯温を上げていく調整が良いと思います。湯温によって、明確に味が変わるので、しっかりと温度計で測りたいところです。

サードウェーブ系の極浅煎り豆は、湯温が低いと酸味が強すぎるため、93~94℃ぐらいで出すのが良いかと思います。逆に、中深煎り以上のコーヒー豆を高温で抽出すると、苦味が目立ちます。豆の焙煎度によって、湯温調整はとても重要です。

失敗しないペーパードリップ…抽出


1. フィルターの準備



フィルターの強度を保つために、側面と底を互い違いに折ります。


2. ドリッパーへのセット



フィルターをドリッパーにセットし、コーヒーの粉を入れます。ドリッパーを左右に軽く揺すって、粉の面を平らにします。


3. 蒸らし



お湯を低い位置から少量ずつ、そっとのせるように染み渡らせます。高い位置から勢い良く注いでしまうと、コーヒーの粉の層が壊れてしまい、抽出が失敗します。あくまでもじわっと、偏りなく染み渡らせます。この時に、お湯が通った道が非常に大事です。このあとの抽出過程で注ぐお湯は、この時にできた通り道を通ってコーヒーの成分を抽出します。ここに偏りがあったり、うまく層を形成できていないと、抽出がうまく行かず、シャバシャバのコーヒーになります。



20~30秒程蒸らします。新鮮なコーヒー豆を使っていると、粉がよく膨らみ、キラキラと細かい泡がでます。ここでじっくりコーヒーの粉を温めることで、コーヒーの成分が効率よく抽出できるようになります。


4. 抽出


注湯


膨らんだ粉の中心から「の」の字を描くように、そっと、細く、お湯を注いでいきます。膨らんだ粉の高さを保ちつつ、ドリッパー内のお湯が無くなりきらないように、何回かに分けて注いでいきます。


粉とフィルターの境目にお湯を注ぐことは避けましょう。お湯がコーヒーの粉の層を通過することで、コーヒーの成分を抽出しているのですが、境目にお湯を注ぐと、お湯が粉の層を通らずに、ドリッパーと粉の間を通って直接サーバーに落ちてしまいます。結果、間の抜けたコーヒーが出来上がります。

目的の抽出量になったら、ドリッパー内のお湯が落ちきる前に、ドリッパーをサーバーから外します。ドリッパー内の泡には、雑味(アク)が吸着されているので、それらがサーバーに落ちるのを避けます。

これで完成です! 

失敗しないペーパードリップ…まとめ

 以上、失敗しないペーパードリップをまとめました。いくつかのポイントさえ抑えれば…と書きましたが、少し分量が多めになってしまいました。大事な部分だけ乱暴にまとめると、

 

  • ・ 豆の量を計る!(オススメ 抽出量150ml:粉10g)
  • ・ お湯の温度を測る!(オススメ 83℃)
  • ・ 蒸らす!
  • ・ 粉とフィルターの境目にお湯を当てない!


上質な豆を使って、上記を守れば、スペシャルティコーヒーをご家庭でも淹れられます。

豆の量や湯温については、あくまでもBlackhole Coffee Roasterが考える基本です。当店で販売するコーヒー豆は、上記の方法で味をチェックしています。

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